不恰好
ぶかっこう
名詞
標準
文例 · 用例
よく見ると簑は主に紅葉の葉の切れはしや葉柄を綴り集めたものらしかったが、その中に一本図抜けて長い小枝が交じっていて、その先の方は簑の尾の尖端から下へ一|寸ほども突き出て不恰好に反りかえっていた。
— 寺田寅彦 『小さな出来事』 青空文庫
自分の知っている狭い範囲だけでも蕪村、高陽のごとき人の傑作に対する時は、そこに幾多の不細工あるいは不恰好が優れた器用と手際との中に巧みに入り乱れ織り込まれて、ちょうど力強い名匠の音楽の演奏を聞くような感じがするのである。
— 寺田寅彦 『津田青楓君の画と南画の芸術的価値』 青空文庫
あるいは津田君の画にしばしば出現する不恰好な雀や粟の穂はセザンヌの林檎や壷のような一種の象徴的の気分を喚起するものである。
— 寺田寅彦 『津田青楓君の画と南画の芸術的価値』 青空文庫
ざっとこれがために、半月悩んで、ようよう杖を突いて散歩が出来るようになりますと、籠を出た鳥のように、町を、山の方へ、ひょいひょいと杖で飛んで、いや不恰好な蛙です――両側は家続きで、ちょうど大崩壊の、あの街道を見るように、なぞえに前途へ高くなる――突当りが撞木形になって、そこがまた通街なんです。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
腰附、肩附、歩行く振、捏っちて附着けたような不恰好な天窓の工合、どう見ても按摩だね、盲人らしい、めんない千鳥よ。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
私は、外に出る時には、たいていの持ち物は不恰好でも何でも懐に押し込んでしまう事にしているのであるが、まさかステッキは、懐へぶち込む事は出来ない。
— 太宰治 『服装に就いて』 青空文庫
私は自身の不恰好に氣づいた。
— 太宰治 『逆行』 青空文庫
私は自身の不恰好に気づいた。
— 太宰治 『逆行』 青空文庫