斜上
しゃじょう
名詞
標準
文例 · 用例
小兒たちと一所に、あら/\と、また言ふ隙に、電柱を空に傳つて、斜上りの高い屋根へ、きら/\きら/\と青く光つて輝きつゝ、それより日の光に眩しく消えて、忽ち唯一天を、遙に仰いだと言ふのである。
— 泉鏡太郎 『番茶話』 青空文庫
創道は環状軟骨の左二|糎程の所から最初刃を縦にして抉りながら斜上に突き上げているのですから気道は水平の刃で貫いてあります。
— 小栗虫太郎 『聖アレキセイ寺院の惨劇』 青空文庫
それから、外傷は一つだけで、しかもその創道が自殺者以外には見ることのない方向を示していて咽喉を斜上に突き上げている。
— 小栗虫太郎 『聖アレキセイ寺院の惨劇』 青空文庫
両腕を胸に組んで寒そうに――実際夕方から急に冷々としてきた晩だった――肩をすぼめていた佐伯昌作は、取留めのない夢想の中からふと眼を挙げて見ると、印半纏を着た老人の日焼した顔が、髭を剃り込んだ※をつき出し加減にして、彼の横から斜上の方を指し示していた。
— 豊島与志雄 『野ざらし』 青空文庫
また索溝の具合を見ると、顎の下から斜上に耳の下のところまで残っているが、その上はなくなっている、これによってもその繩は頸を締めるためではなくて、死骸を現場から引きずり出すためだったということがわかる。
— 久生十蘭 『魔都』 青空文庫
が、其の天井が少し低いのを見て取って、片八相、斜上段になる。
— 三好十郎 『斬られの仙太』 青空文庫
やがて右へとトラヴァースし暫くして、リンネの上の小さな岩塊を廻り、斜上気味に狭い棚を行くと、水の滴っている比較的大きなリンネへ達する。
— 小川登喜男 『一ノ倉沢正面の登攀』 青空文庫
手もとにくりこんできた女を、将監は目にもとまらず斜上にすくいあげました。
— 橘外男 『亡霊怪猫屋敷』 青空文庫