覲
覲
名詞
標準
文例 · 用例
寶暦五年春三月、伊豆守江戸に參覲ありて、多日在府なされし折から、御親類一同參會の事ありき、幼君其座にて、「列座の方々、いづれも豫て御存じの如く、某勝手不如意にて、既に先年公義より多分の拜借いたしたれど、なか/\其にて取續かず、此際家政を改革して勝手を整へ申さでは、一家も終に危く候。
— 泉鏡太郎 『十萬石』 青空文庫
二月に至り、燕王|入覲す。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
今日その島津様が参覲交替でお江戸入りの御道中遊ばします筈にござりまするゆえ、よく存じているのでござります。
— 三河に現れた退屈男 『旗本退屈男 第五話』 青空文庫
いわゆる西国大名と名のつく大名だけでも、優に百二三十藩くらいはあるに相違ないのであるから、参覲交替の季節が訪れると共に、街道を上下の大名行列が数繁くなるや、忽ち右の「挨拶」が御陣屋の玄関に山をなして、半年とたたぬうちに御金蔵が七戸前程殖えました。
— 三河に現れた退屈男 『旗本退屈男 第五話』 青空文庫
それとは反対に無事江戸参覲を果して、久方ぶりでのお国詰を急いでいるらしい藩侯に違いないが、折も折に願うてもない道中行列が近づいて来たのはお誂え向きです。
— 三河に現れた退屈男 『旗本退屈男 第五話』 青空文庫
そういったら、またおまえが口うるさく何かいうだろうが、おへやさまだからこそ、諸侯のお手本ともなるべきご三家のお殿さまが先へたって行列とごいっしょに参覲道中させたと聞かれちゃ、世間体がよろしくないため、わざわざお小姓にやつさせたんだ。
— 七化け役者 『右門捕物帖』 青空文庫
大名はどんなに小さくとも大名だけの格式を守って行かなければならず、参覲交代もしなければなりませんから、内証はなか/\苦しい。
— 岡本綺堂 『三浦老人昔話』 青空文庫
又、参覲交替は、信長、秀吉の時にも、安土や大坂に諸大名が邸を置いて滞留したことがあつたが、家光の時代に制定したものは、全大名の大がかりな定期点呼であり、人質制度でもあつた。
— 菊池寛 『二千六百年史抄』 青空文庫