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飛々

飛々
名詞
1
標準
文例 · 用例
室内を横伝い、まだ何か便り無さそうだから、寝台の縁に手をかけて、腰を曲げるようにして出たが、扉の外になると、もう自分でも足の確なのが分って、両側のそちこちに、白い金盥に昇汞水の薄桃色なのが、飛々の柱燈に見えるのを、気の毒らしく思うほど、気も爽然して、通り過ぎた。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
丁どいまの曲角の二階家あたりに、屋根の七八ツ重ったのが、この村の中心で、それから峡の方へ飛々にまばらになり、海手と二、三|町が間人家が途絶えて、かえって折曲ったこの小路の両側へ、また飛々に七、八軒続いて、それが一部落になっている。
泉鏡花 春昼 青空文庫
わずかの間も九十九折の坂道、嶮い上に、※か石を入れたあとのあるだけに、爪立って飛々に這い下りなければなりませんが、この坂の両方に、五百体千体と申す数ではない。
泉鏡花 春昼 青空文庫
が、一里あまり奧の院まで、曠野の杜を飛々に心覺えの家數は六七軒と數へて十に足りない、この心細い渺漠たる霧の中を何處へ吸はれて行くのであらう。
泉鏡花 遺稿 青空文庫
二 公園の入口に、樹林を背戸に、蓮池を庭に、柳、藤、桜、山吹など、飛々に名に呼ばれた茶店がある。
泉鏡花 伯爵の釵 青空文庫
―― 泉殿に擬えた、飛々の亭のいずれかに、邯鄲の石の手水鉢、名品、と教えられたが、水の音より蝉の声。
泉鏡花 伯爵の釵 青空文庫
が、十一の姫ばかりは、さすが各目に名を恥じて、落ちたる市女笠、折れたる台傘、飛々に、背を潜め、顔を蔽い、膝を折敷きなどしながらも、嵐のごとく、中の島|籠めた群集が叫喚の凄じき中に、紅の袴一人々々、点々として皆|留まった。
泉鏡花 南地心中 青空文庫
人、馬、時々|飛々に数えるほどで、自動車の音は高く立ちながら、鳴く音はもとより、ともすると、驚いて飛ぶ鳥の羽音が聞こえた。
泉鏡花 燈明之巻 青空文庫