金城鉄壁
きんじょうてっぺき
名詞
標準
impregnable castle (walls)
文例 · 用例
以上は言わばたわいもない春宵の空想に過ぎないのであるが、しかし、ともかくもわれわれが金城鉄壁と頼みにしている頭蓋骨を日常不断に貫通する弾丸があって、しかもほんの近ごろまではだれ一人夢にもそれを知らずにいたというだけは確かな事実なのである。
— 寺田寅彦 『蒸発皿』 青空文庫
(獅子頭を取る、母衣を開いて、図書の上に蔽いながら)この中へ……この中へ――図書 や、金城鉄壁。
— 泉鏡花 『天守物語』 青空文庫
翌朝、七月十九日の午前十時二十二分に三年町の自宅自室で父が七十二歳の息を引取った時、私は脱脂綿を巻いた箸と、水を容れたコップの盆を両手に支えて、枕頭に集まっていた数十名の人々に捧げ、父の唇を濡らしてもらったが、私は金城鉄壁泣かないつもりで、故意に冷然と構えていた。
— 夢野久作 『父杉山茂丸を語る』 青空文庫
金城鉄壁、難攻不落の堅城であり、荘厳壮麗、天下統一の覇業を期する秀吉の理想を象徴した名城でもあつた。
— 菊池寛 『二千六百年史抄』 青空文庫
彼が営々として名誉、財産地位等を積み重ねてこれに依頼むは、あたかも蜘蛛がその網を金城鉄壁として頼めるの類であるというのである。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
金城鉄壁ならざる丸善の店が焼けるに決して不思議は無い筈だが、今朝焼けるとも想像していないから、此簡単な仮名七字が全然合点めなかった。
— 内田魯庵 『灰燼十万巻(丸善炎上の記)』 青空文庫
まことや金城鉄壁、天下も慴伏す葵の御定紋が、その切れ端たりとも駕籠の先にかかったならば、もう只の駕籠ではないのです。
— 千代田城へ乗り込んだ退屈男 『旗本退屈男 第十一話』 青空文庫
無論、薩摩屋敷へかくれることが出来たら、金城鉄壁だったが、つねに百五十人から二百人近い非人が密集していると伝えられている悲田のその小屋へ駈けこんでも、当座、身をかくすには屈強の場所だった。
— 佐々木味津三 『流行暗殺節』 青空文庫
標準
impregnable