滅入
滅入
名詞
標準
文例 · 用例
私は壓しつぶされ、稀薄になり、地下の底に滅入つてしまふのを感じてゐた。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
すくなくとも気を滅入らせない程度の明るさがなくてはならぬ。
— 萩原朔太郎 『石段上りの街』 青空文庫
うす日で安心していた間もなく、雨がザッとふり注いで来た、谷の中で雨に降り出されるほど、滅入った気になることはない、ゆうべ槍ヶ岳の峰頭から見た、北の空の燃え抜けるように美しい夕日も、今になって見ると、神棚の火のように影がうすいものであった。
— 小島烏水 『谷より峰へ峰より谷へ』 青空文庫
ますます気持が滅入っちまわあ」 大山は、半纏を脱いで、褌一つになって、隅っこの暗いところへ、這って行ってゴロリと横になった。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
三 船を一郭として、人間と機械とが完全に協力して、自然と戦っている時に、船員たちは、自分たちが、船のりであることを、この時以上に癪にさわり、心細くなり、哀れに気の滅入ることはなかった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
今夜は、父が、どうもこんなに電燈が暗くては、気が滅入っていけない、と申して、六畳間の電球を、五十|燭のあかるい電球と取りかえました。
— 太宰治 『燈籠』 青空文庫
婆様は寝ながら滅入るような口調でそう語られ、そうそう、婆様は私を抱いてお寝になられるときには、きまって私の両足を婆様のお脚のあいだに挟んで、温めて下さったものでございます。
— 太宰治 『葉』 青空文庫
その夜は、浜田達にとって、一と晩じゅう、眠ることの出来ない、奇妙な、焦立たしい、滅入るような不思議な夜だった。
— 黒島傳治 『前哨』 青空文庫