楼内
ろうない
名詞
標準
文例 · 用例
」法水が動じた気色を見せなかったように、他の二人も、足跡を残さずにすむ脱出径路と不可解な兇器の遺留場所を解くものが、漠然と暗示されているような気がして、必ずや鐘楼内から、それを鑑識的に証明するものが、現われるに違いないと信じていた。
— 小栗虫太郎 『聖アレキセイ寺院の惨劇』 青空文庫
エヽ詰らない馬鹿々々しいや、斯うして心配しているのに彼女は、あの仲間にはいって笑っているかも知れんと、水上警察の巡廻船に注意いたしつゝ、そっと首をあげまして石垣につかまり、伸びあがって楼内の様子をうかゞっていまする。
— 三遊亭圓朝 『根岸お行の松 因果塚の由来』 青空文庫
家人は眠りの最中にて楼内寂として音なし。
— 断腸亭日記巻之五大正十年歳次辛酉 『断腸亭日乗』 青空文庫
こんな顔の、こんな衣裳の、と菰が説明するのを聞いて、「ああ、わかりました」 お直は立って行ったが、いつまで待っても、連れて来ないのみか、菰とお稚児が廊下まで出てみると、なんとなく楼内が躁がしい。
— 空の巻 『宮本武蔵』 青空文庫