賤人
せんじん
名詞
標準
文例 · 用例
社會が一賤人一兇人を其一賤人一兇人なるの故を以て冷視したならば、疾病は必らず其處より發芽して、そして蒲公英の種子の如く風に乘じて飛散傳播するで有らう。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
されど心よりして觀んか、我|豈賤人ならんや。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
その可否のごときは吾輩賤人の議すべきでないが、社会の上層既にかかる因襲を廃せぬに、下層凡俗それ相応に鬼門の忌を墨守するを、吾輩何と雑言したりとて破り撤てしめ得らりょうぞ。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
逸詩に、君子に君たればすなわち〈正しく以てその徳を行う、賤人君たらば、すなわち寛にして以てその力を尽す〉という事じゃと、『呂覧』愛士篇に出づ。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
ただし女は出世で済まそうとも、済まぬは我々旗本の身分、ほいと賤人を寵愛して閨の伽をさせるはすなわちほいと賤人に落ちたも同然、もし我々同族のうちに、左様な人物がありとすれば、同席さえも汚れではござるまいか。
— 慢心和尚の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
内心は同情を寄せる者があっても、それを口にすると自分もまたほいとであり賤人であるかの如くさげすまれるのが辛いから、御多分に洩れず口々に、能登守の行いを汚らわしいものとして罵っていました。
— 慢心和尚の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
偏体の賤人の土足が女のなかの女である人の唇をうけた。
— 和辻哲郎 『古寺巡礼』 青空文庫
然れども賤人の私記|却而浩瀚の史籍より史学上の価値を有すること尠しとせず。
— 津田左右吉 『史論の流行』 青空文庫