餽
餽
名詞
標準
文例 · 用例
叡山筑波山の如きは無くもがなのものだといふ評さへ聞くが、こゝのは蓋し出來れば出來た方が婦女老幼のために甚大の利を餽ることにならう。
— 幸田露伴 『華嚴瀧』 青空文庫
李が別に臨んで、衣食に窮せぬだけの財を餽ったので、玄機は安んじて観内で暮らすことが出来た。
— 森鴎外 『魚玄機』 青空文庫
抽斎は子婦糸の父田口儀三郎の窮を憫んで、百両余の金を餽り、糸をば有馬宗智というものに再嫁せしめた。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
成善はこの金を得て、半は留めて母に餽り、半はこれを旅費と学資とに充てた。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
榛軒が金を餽つて賀し、寿海が必ず来り観むことを請ふを見れば、此興行は廉ある興行でなくてはならない。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
竜池は急に諸役人に金を餽って弥縫し、妾に暇を遣し、別宅を売り、遊所通を止めた。
— 森鴎外 『細木香以』 青空文庫
この類の事まだ夥しくあるが、今度はこれで打ち切りとして、もし私人がこの文を読むに起因して大儲けをしたら、お富も三十七まで仲居奉公に飽きてこの上娘が承知せぬというから、なるべく大金を餽って片付けやってくれ。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
シシリーではかかる牝鶏は売りも餽りもせず、主婦が食うべしという由。
— 鶏に関する伝説 『十二支考』 青空文庫