小柴垣
こしばがき
名詞
標準
文例 · 用例
螺旋状になった路のついたこの峰のすぐ下に、それもほかの僧坊と同じ小柴垣ではあるが、目だってきれいに廻らされていて、よい座敷風の建物と廊とが優美に組み立てられ、庭の作りようなどもきわめて凝った一構えがあった。
— 若紫 『源氏物語』 青空文庫
山の春の日はことに長くてつれづれでもあったから、夕方になって、この山が淡霞に包まれてしまった時刻に、午前にながめた小柴垣の所へまで源氏は行って見た。
— 若紫 『源氏物語』 青空文庫
野の宮は簡単な小柴垣を大垣にして連ねた質素な構えである。
— 榊 『源氏物語』 青空文庫
そこは簡単な小柴垣なども雅致のあるふうにめぐらせて、仮居ではあるが品よく住みなされた山荘であった。
— 夕霧一 『源氏物語』 青空文庫
こういう種々の原因が絡み合って、内部と外部との中間には、袖萩が取りつくろっている小柴垣よりも大きい関が据えられて、戸を叩くにも叩かれぬ鉄の門が高く鎖ざされていたのであった。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
賑かな笑声が牛込の奥の小柴垣の中に充ちた。
— 田山花袋 『蒲団』 青空文庫
さみしさ凄さはこればかりでもなくて、曲りくねッたさも悪徒らしい古木の洞穴には梟があの怖らしい両眼で月を睨みながら宿鳥を引き裂いて生血をぽたぽた…… 崖下にある一構えの第宅は郷士の住処と見え、よほど古びてはいるが、骨太く粧飾少く、夕顔の干物を衣物とした小柴垣がその周囲を取り巻いている。
— 山田美妙 『武蔵野』 青空文庫
舞台の両端には美しい花の咲き乱れた葵の茂みと小柴垣がある。
— 加藤道夫 『なよたけ』 青空文庫