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抜け落ち

ぬけおち
名詞
1
標準
文例 · 用例
蓬髪は昔のままだけれども哀れに赤茶けて薄くなっており、顔は黄色くむくんで、眼のふちが赤くただれて、前歯が抜け落ち、絶えず口をもぐもぐさせて、一匹の老猿が背中を丸くして部屋の片隅に坐っている感じであった。
太宰治 斜陽 青空文庫
と、その代りマッチ工場独特の骨壊疽にかかった老人や、歯齦が腐って歯がすっかり抜け落ちてしまった勤続者や、たびたびの火傷に指がただれ膿んで、なりっぽのように、小さい物をつまみ上げることが出来ない女工が一人ずつ追い出されて行った。
黒島傳治 武装せる市街 青空文庫
骨壊疽で義歯を支えていた犬歯が抜け落ち、下顎の門歯がとれてしまったのだ。
黒島傳治 武装せる市街 青空文庫
」 その男は、下の前歯が、すっかり抜け落ちていた。
黒島傳治 武装せる市街 青空文庫
灼熱した思いを注ぎ込んでいけばとてつもなく重くもなれば、栓が抜け落ちて注がれたものが失われれば、ちり紙のしわ一つほどの重みもなくなろう。
富田倫生 パソコン創世記 青空文庫
「半導体技術の進歩によって…」とする正論からは、社会と人間がすっぽり抜け落ちている。
富田倫生 青空のリスタート 青空文庫
五 女史の訃音 それより数日を経て翌二十年五月二十五日公判開廷の際には、あたかも健康回復の期にありて、頭髪|悉く抜け落ち、薬罐頭の醜さは人に見らるるも恥かしき思いなりしが、後にて聞けば妾の親愛なる富井於菟女史は、この時|娑婆にありて妾と同病に罹り、薬石効なく遂に冥府の人となりけるなり。
福田英子 妾の半生涯 青空文庫
――壮年の男は驚くほどに巌丈な骨組みで、幅も厚さも並はずれた胸の上に、眉毛の抜け落ちた猪首の大きな頭が、両肩の間に無理に押し込んだようにのしかかっているのである。
島木健作 青空文庫