小暗い
おぐらい異読 こぐらい
形容詞
標準
dusky
文例 · 用例
道は小暗い谿襞を廻って、どこまで行っても展望がひらけなかった。
— 梶井基次郎 『冬の蠅』 青空文庫
一本の古びた筧がその奥の小暗いなかからおりて来ていた。
— 梶井基次郎 『筧の話』 青空文庫
* * * 書棚とピアノとオルガンと、にわか百姓の素性を裏切る重々しい椅子とで昼も小暗い父の書斎は都会からの珍客で賑わっていた。
— 有島武郎 『フランセスの顔』 青空文庫
歯が、ぼろぼろに欠け、背中は曲り、ぜんそくに苦しみながらも、小暗い露路で、一生懸命ヴァイオリンを奏している、かの見るかげもない老爺の辻音楽師を、諸君は、笑うことができるであろうか。
— ――ひそひそ聞える。なんだか聞える。 『鴎』 青空文庫
それを結んで小暗い風呂場から出てくると、藤さんが赤い裏の羽織を披げて後へ廻る。
— 鈴木三重吉 『千鳥』 青空文庫
お兄様の研究も次第に嶮しい径をお辿りになるのでせうが、揺蕩ふことなく「学びの小暗い径」を強い脚どりでお進みになるやうに心からお希ひ申します。
— 牧野信一 『〔婦人手紙範例文〕』 青空文庫
などと考へながら、小暗い森を駆け抜けた。
— 牧野信一 『ピエル・フオン訪問記』 青空文庫
私は非常に驚き、同時に彼女の涙を想像して痛く同情の言葉を寄せたところ、娘は一向平気で、「あんな爺、いまにくたばるづら……」 などゝ頓着なくうそぶき、馬車が小暗い森に差しかゝつたころ、「おら、この間こゝらで狼の糞を見たぞ。
— 牧野信一 『るい』 青空文庫