悪筆
あくひつ
名詞
標準
poor handwriting
文例 · 用例
字を書くことの上手な人はこういう機会に存分に筆を揮って、自分の筆端からほとばしり出る曲折自在な線の美に陶酔する事もあろうが、彼のごとき生来の悪筆ではそれだけの代償はないから、全然お勤めの機械的労働であると思われる上に、自分の悪筆に対する嫌忌の情を多量に買い込まされるのである。
— 寺田寅彦 『年賀状』 青空文庫
二時お暇乞する、二人で下関へ出かけるのである、途中で沢田さんといふ方に招かれてちよつと話す、色紙に悪筆を揮ふ。
— 大田から下関 『行乞記』 青空文庫
文字さえ乱れて、細くまた太く、ひょろひょろ小粒が駈けまわり、突如、牛ほどの岩石の落下、この悪筆、乱筆には、われながら驚き呆れて居ります。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
再々悪筆をお目にかける失礼、お許し下さいまし。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
悪詩悪筆 自欺欺人 億千万劫 不免蛇身 口の中で、しばらくこれを繰返しながら、三造は自然に不快な寒けを感じてきた。
— 中島敦 『斗南先生』 青空文庫
私は藪の上に悪筆だ、)というたのだそうです。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
しゃれにならない悪筆に加え、下敷きにしたやすりにうまく引っかけて字画を出していくこつがなかなかつかめなかった私は、読むに耐えないかすれた紙面を作って顰蹙を買いました。
— 富田倫生 『本の未来』 青空文庫
悪筆では人後に落ちない私には、「悪戦苦闘の末勇気をふるい」原稿用紙への書き写しを終えたという祖母の気持ちが、良く分かります。
— 富田倫生 『本の未来』 青空文庫
作例 · 標準
例文1
例文3
例文5
例文7
ウィキペディア
悪筆(あくひつ)とは、一見読めないような書き物、あるいはその書き手の下手さを指す。その書き手のことを悪筆家ということもある。多くの場合、書いた人自身にしか読めない。暗号とは別物である。暗号は読めないことを目的として通常でない表記法を取るのに対して、悪筆は通常の表記法を用いているのに読めない、あるいは読みにくいものを指す。
出典: 悪筆 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0