鬼形
きぎょう
名詞
標準
文例 · 用例
まことに、そこ一帯の高原は、原野というものの精気と荒廃の気とが、一つの鬼形を凝りなしていて、世にもまさしく奇異な一つに相違なかった。
— 小栗虫太郎 『白蟻』 青空文庫
繍帳原形は中央に浄土変相をあらわし、瑞雲、霊鳥、霊樹、雲形、花鳥、人物、鬼形、仏像などを、周りに大銭のような亀甲が一百ばかりつらなり、一甲に四字あて、すべてで四百字、この繍文によって繍帳製作の由来をあらわしたと言われる。
— 矢田津世子 『※女抄録』 青空文庫
三河北設樂郡一般に行ふ、正月の「花祭り」と稱する、まれびと來臨の状を演ずる神樂類似の扮裝行列には、さかきさまと稱する鬼形の者が家々を訪れて、家人をうつ俯しに臥させて、其上を躍り越え、家の中で「へんべをふむ」と言ふ。
— まれびとの意義 『國文學の發生(第三稿)』 青空文庫
彼女が晩年零落していたころ、多くの若い貴族が車に同乗して彼女の家の前を通り、家の壊れたのを見て「少納言無下ニコソ成ニケレ」と言うと、桟敷に立っていた彼女が簾を掻き上げ、「如鬼形之女法師顔」[鬼形の如き女法師顔]をさし出して、「駿馬之骨ヲバ不買ヤ。
— 和辻哲郎 『日本精神史研究』 青空文庫
鬼形の一軍はもとより蜀の姜維、魏延などで、ふたたび兵糧満載の木牛流馬をことごとく手に収め、凱歌をあげて祁山へ曳いて帰った。
— 五丈原の巻 『三国志』 青空文庫