陸影
りくえい
名詞
標準
文例 · 用例
右舷を回って左舷に出ると計らずも目の前に陸影を見つけ出して、思わず足を止めた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
遠く、こなたの渚からその不思議な陸影を眺めて居ると、いつか心は亞刺比亞奇話のあやしい情調の國へ引き入れられるやうに思はれる。
— 木下杢太郎 『海郷風物記』 青空文庫
その時に、一つの汽船の陰がかすかなる陸影の裾に現はれた。
— 木下杢太郎 『海郷風物記』 青空文庫
陸影を離れてから間もない三日目の、二十三日の朝早く、無電技手が腰を抜かしたまま船橋から転がり落ちて来た。
— 夢野久作 『焦点を合せる』 青空文庫
銀盤上に黒い陸影、その陸影の四方を繞つて千古無終、我が潮の響は鳴り渡つてゐるのだ。
— 吉江喬松 『海潮の響』 青空文庫
見よ、煙霧の尾が海をはなるる切れ目の一せつなに、東の光をうけてこうごうしくかがやける水平線上の陸影!
— 佐藤紅緑 『少年連盟』 青空文庫
そのあいだに一点の帆影も見えない、一|寸の陸影も見えない。
— 佐藤紅緑 『少年連盟』 青空文庫
遥に北の方を眺むれば、常見る霞が浦|俄に浮き上ったように、水|※々として遥に天腹を浸し、見ゆる限りの陸影皆小く沈んで、唯遥に筑波山の月影に青く見えるばかりだ。
— 徳冨蘆花 『漁師の娘』 青空文庫