平床
ひらどこ
名詞
標準
文例 · 用例
平床に据えた古薩摩の香炉に、いつ焼き残したる煙の迹か、こぼれた灰の、灰のままに崩れもせず、藤尾の部屋は昨日も今日も静かである。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
茶がかった平床には、釣竿を担いだ蜆子和尚を一筆に描いた軸を閑静に掛けて、前に青銅の古瓶を据える。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
床は平床を鏡のようにふき込んで、※気を吹いた古銅瓶には、木蘭を二尺の高さに、活けてある。
— 夏目漱石 『草枕』 青空文庫
三尺の平床には、大徳寺物の軸がさびしくかかって、支那水仙であろう、青い芽をつつましくふいた、白交趾の水盤がその下に置いてある。
— 芥川龍之介 『老年』 青空文庫
六畳の、平床に花鳥の淡彩をかけた部屋の中は、静に落付いている。
— 宮本百合子 『我に叛く』 青空文庫
なぜなら見たのが、たたきつぶされ血を流す死体ではなく、灰に覆われた平床が破れ、ハウスマンの足が光って、すっかり消えたからだ。
— BEING AN ADVENTURE OF DRENTON DENN, SPECIAL COMMISSIONER 『ドレントン・デン特派員の冒険』 青空文庫
といふのは、五坪の三分の一を、切り落しにして、椅子と卓にし、あとを疊と平床にしたことにある。
— 吉川英治 『折々の記』 青空文庫
お糸さんが家へ来る前の日、五十間の平床の親爺さんが祖父のひげを剃りにきた。
— 小山清 『桜林』 青空文庫