物懐かしい
ものなつかしい
形容詞
標準
文例 · 用例
そして、何とはなし、物懐かしいような心持になって首をあげ、あちらこちらを見廻しながら額を拭く。
— 宮本百合子 『風に乗って来るコロポックル』 青空文庫
妙に物懐かしい心持になって、夜更けの町をトボトボと帰って来ると、「野郎ッ、気を付けろ」 いきなり疾風のごとく飛んで来て、正面からドシンと突き当ったものがあります。
— 地獄から来た男 『銭形平次捕物控』 青空文庫
遠眼鏡と云うのは、恐らく二三十年も以前の舶来品であろうか、私達が子供の時分、よく眼鏡屋の看板で見かけた様な、異様な形のプリズム双眼鏡であったが、それが手摺れの為に、黒い覆皮がはげて、所々|真鍮の生地が現われているという、持主の洋服と同様に、如何にも古風な、物懐かしい品物であった。
— 江戸川乱歩 『押絵と旅する男』 青空文庫
何か物懐かしい気持に支配されて、思わず廊下に立出でると、泣いている幼児の傍に近づいて行った。
— 江戸川乱歩 『悪魔の紋章』 青空文庫