人形遣い
にんぎょうづかい
名詞
標準
文例 · 用例
人形遣いの手を離れて木偶の坊が一人で動ける筈がない。
— 岡本綺堂 『籠釣瓶』 青空文庫
それ位の自信とうぬぼれがなくてはあかん」その母の一言で、私の粘っていた気持は、すぽっととけてしまい、それで、思い切って文展出品をやめ二ヶ月後にあったイタリアへの出品に心を定め、落ちついて構想をまとめ〈人形遣い〉を描いて入選しました。
— 上村松園 『わが母を語る』 青空文庫
確か私の〈人形遣い〉を出した年で、両方共銀賞だった様に覚えている。
— 土田麦僊追悼 『土田さんの芸術』 青空文庫
人形芝居にしても、今日は明るいためにかえって人形遣いの方が邪魔になってよほど趣きを打壊すが、昔は暗い上に八つ口だけの赤い、真黒な「くろも」というものを着附けていたので目障りではなかった。
— 淡島寒月 『亡び行く江戸趣味』 青空文庫
これは平安朝に傀儡子と書いたのを後に人形遣いのみのこととして傀儡師と書くようになっての後の事であろう。
— ――サンカモノは坂の者 『サンカ者名義考』 青空文庫
摂津の西の宮は人形遣いの起った有名な場所でありますが、これは付近の産所という部落の賤民が、西の宮の夷様の像を舞わして諸国を遍歴し、米銭を貰って生計としたのが本だと存じます。
— 喜田貞吉 『特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ』 青空文庫
その他比較的後までも、河原者とか、河原乞食とか呼ばれて、賤視された人形遣い、すなわち道薫坊の徒の如きは、つとに日向掾などの受領を得て、今で云えば地方庁の高等官の資格を獲得していたものがあり、また歌舞伎役者の如きも、今では立派な芸術家として、何人もこれを嫌がるものがない程になっている。
— 喜田貞吉 『賤民概説』 青空文庫
遊芸者の中でも、下等な門付け芸人や、渡り芸人は別ですが、上等の歌舞伎役者や、人形遣いなどは、河原者、河原乞食などとはいいましたが、エタだとは誰も思わなくなりました。
— 喜田貞吉 『融和問題に関する歴史的考察』 青空文庫