老顔
ろうがん
名詞
標準
文例 · 用例
婚礼の席に連なったときや、明け暮れそのなかのいいのを見ていたおれは、ええ、これ、どんな気がしたとおまえは思う」 という声濁りて、痘痕の充てる頬骨高き老顔の酒気を帯びたるに、一眼の盲いたるがいとものすごきものとなりて、拉ぐばかり力を籠めて、お香の肩を掴み動かし、「いまだに忘れない。
— 泉鏡花 『夜行巡査』 青空文庫
□オモヒデはトシヨリのキヤラメル□意志を忘れて来た男 意志だけ持つてゐる女□老顔のよさは雨露に錆びた石仏のやうなものだらう、浮世の風雪が彼を磨いたのだらう。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
ふと鏡をのぞいて、自分の老顔に驚いた!
— 種田山頭火 『道中記』 青空文庫
酔いが、健康らしい褐色の老顔にもありありと現れた。
— 菊池寛 『仇討三態』 青空文庫
酷いことをしやがる」と、云うかと思うと、瘠せた右の手の甲で老顔を幾度もこすりました。
— 菊池寛 『ある抗議書』 青空文庫
が、ドイツの学生が、若い時に血気に任せて盛んに決闘をやった傷痕が、官僚政府に出仕して意気地なしの老官吏に成り果てた後までも、彼らの老顔の皺の間に残っているように、若杉裁判長の青年時代の信仰も、やっぱりどこかに痕跡を残していたようです。
— 菊池寛 『若杉裁判長』 青空文庫
そのうちに粟生氏が「箙」の切の或る一個所をかれこれ二三十遍も遣直させられたと思うと、老顔に浴びるように汗の滝を流しながら、精も気根も尽き果てた体で謡本の前に両手を突いて、「今日はこれ位で、どうぞ御勘弁を……」 と白旗を揚げた。
— 夢野久作 『梅津只圓翁伝』 青空文庫
「女の子がきたないなりをしているときに、そんなに見るもんじゃないよ」 日本一太郎の端麗な老顔を、同情のいろが走りすぎて、お駒ちゃんを促して藤代町のほうへまがりながら、「ちげえねえ。
— 林不忘 『巷説享保図絵』 青空文庫