幽情
ゆうじょう
名詞
標準
文例 · 用例
ここかしこに歯朶の茂りが平かな面を破って幽情を添えるばかりだ。
— 夏目漱石 『幻影の盾』 青空文庫
結局藤の花の歌は、こうした高士の幽情とは違った、凡人の感得出来る「かそけさ」の味いを詠んだものなのであろう。
— 折口信夫 『歌の円寂する時』 青空文庫
此瞑想・沈思と言つた独坐深夜の幽情をはじめて表現したものは、高市黒人であつた。
— 万葉集以後の歌風の見わたし 『短歌本質成立の時代』 青空文庫
俊成も、その幽情を目がけたのは、此人の影響を意識してとり入れてゐるのである。
— 万葉集以後の歌風の見わたし 『短歌本質成立の時代』 青空文庫
此が西行の幽情に、誹諧の「さび」よりも、曲節や、弾力のある所以である。
— 万葉集以後の歌風の見わたし 『短歌本質成立の時代』 青空文庫
経信に著しく見えた幽情が、公卿の流行となつてゐた仏教凝りや、釈教歌・法楽の歌などに溢れた仏教味に合体した為、と言ふ様な速断は許されない。
— 万葉集以後の歌風の見わたし 『短歌本質成立の時代』 青空文庫
幽情も、やはらぎも見えない。
— 万葉集以後の歌風の見わたし 『短歌本質成立の時代』 青空文庫
其と、其一つ向うに感じてゐた貴族的な――古典式で孤独な幽情がさうさせたのである。
— 折口信夫 『市村羽左衛門論』 青空文庫