快弁
かいべん
名詞
標準
eloquence
文例 · 用例
それから楽堂君が持って生まれた快弁熱語を以て滔々と法政騒動の真相を披瀝すると、黙々として聞いていた翁は、やがて膝の前に拡げられた法政騒動渦中の諸教授の連名に眼を落した。
— 夢野久作 『近世快人伝』 青空文庫
孝経が解るくらゐなら高利は貸しません、彼等は銭勘定の出来る毛族さ」 得意の快弁流るる如く、彼は息をも継せず説来りぬ。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
何よりも併し早川先生の卒直と深切とに満ちた快弁がサロンの情調を引立てる中心を成して居た。
— 附 満蒙の歌 『満蒙遊記』 青空文庫
酔いがまわるにつれて二人は快弁になった。
— 相馬泰三 『六月』 青空文庫
持つて生れた雄弁で、中国の情勢、地理風俗にまでわたつて数万言、信長の大軍に出陣を乞ひ自ら手引して中国に攻め入るなら平定容易であると言つて快弁を弄する。
— 坂口安吾 『黒田如水』 青空文庫
微醺を帯びた米川氏の快弁を髣髴させるもので、東西の酒讃に何ものかを加ふるばかりでなく、私のことなども引合に出し、酒を飲まぬ、或は飲めぬ手合にやんわりと絡んで来てゐる。
— 岸田國士 『米川正夫著「酒・音楽・思出」』 青空文庫
黙阿弥になると、もう、あの世話物の調子自身に、江戸末期の庶民の「快弁」が、痛切な夢となって、しみじみと流れ出ています。
— 岸田國士 『あるニュウ・フェイスへの手紙』 青空文庫
こうして翌年四月、上京したとたんに快弁の先々代林家正蔵が胃病で歿り、旧知の急逝に私は銀座裏で安酒を煽って涙し、目が醒めたら牡丹桜の散る吉原のチャチな妓楼で眠っていた。
— 正岡容 『わが寄席青春録』 青空文庫