顔自
かおじ
名詞
標準
文例 · 用例
ある外国人は日本の相撲の顔を見ると必ず何かの動物を思い出すと言ったが、その人の顔自身がどうも何かの獣に似ているのであった。
— 寺田寅彦 『自画像』 青空文庫
もっとも顔自身の日々の相が偶然のものではあろうが。
— 寺田寅彦 『自画像』 青空文庫
たしか、二三春といや、のど自慢顔自慢の東節語りと聞いているが、それにしちゃ兄貴のおめえさんは、ちっとこくが足りねえな。
— 幽霊水 『右門捕物帖』 青空文庫
顔自慢で村の若者たちから騒がれたこともあるとかで、幾らか横着な性質だったから、ある日も家内に、「あのう加藤さんところの奥さんは、やきもちやきですわね。
— 横光利一 『睡蓮』 青空文庫
広島に帰り母を奉じ京師に入り西遊の行を終り更に母を伴ふて嵐山に遊び奈良芳野の勝を訪ひ侍輿百里度、花落南山万緑新、筍蕨侑杯山館夕、慈顔自有十分春の詩あり、終に送りて広島に還る。
— 山路愛山 『頼襄を論ず』 青空文庫
そう云えば紅や白粉も、素顔自慢の愛春よりも、遥に濃艶を極めている。
— 芥川龍之介 『上海游記』 青空文庫
女性は顔をまわしてゆったりと川面や遠い河岸を眺めているが、どんなことにも興味と満足を感じる豊かな気質らしく、表情のなかにたえず微笑の波をたちあげるので、顔自体が生きているかと思われるほどである。
— 久生十蘭 『うすゆき抄』 青空文庫
その部屋の古いオーバーマントルには嫌らしい恐怖の影が、肖像画からジョセフ・カーウィンの顔自身がこそこそと覗き見していた頃よりもなお一層色濃くまとわりついていたのだ。
— H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft 『チャールズ・デクスター・ウォードの事件』 青空文庫