無動
むどう
名詞
標準
文例 · 用例
それと同じように、余所目には痩せて血色の悪い秀麿が、自己の力を知覚していて、脳髄が医者の謂う無動作性|萎縮に陥いらねば好いがと憂えている。
— 森鴎外 『かのように』 青空文庫
善なる意志に基いてなされる行為が内容的な動機を含まず、無動機であるかのようであるのも、人間存在の超越性に依ってである。
— 三木清 『哲学入門』 青空文庫
純粋行為というのは、無動機の行為とはちがうだろう。
— 豊島与志雄 『別れの辞』 青空文庫
この感覚が一歩様相を変えれば、その現存のあらゆる現象が根源的偶然であるごとき感覚、すべての行為が無動機であるごとき感覚となる場合がある。
— 中井正一 『近代美の研究』 青空文庫
かかる傾向が一歩を変ずればジイドに見るごとき無一物への願望ともなり、無動機の行為ともなるのではあるまいか。
— 中井正一 『近代美の研究』 青空文庫
実存は無動機、不合理、醜怪なものだといふ。
— 坂口安吾 『肉体自体が思考する』 青空文庫
――ちょうど東塔の無動寺に人がない。
— 吉川英治 『親鸞』 青空文庫
性善坊は、しきりと、「きょうからは、少納言さまも無動寺のお主、一ヵ寺のご住持でございますから、もう山の衆も、お小さいからといって、馬鹿にするような振舞いはいたしますまい」といった。
— 吉川英治 『親鸞』 青空文庫