脚夫
きゃくふ
名詞
標準
文例 · 用例
峠から駆下りて来た郵便脚夫が一人、(旦那、女が狼に食われております。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
眞中頃で、向岸から駈けて來た郵便脚夫と行合つて、遣違ひに一緒になつたが、分れて橋の兩端へ、脚夫はつか/\と間近に來て、與吉は彼の、倒れながらに半ば黄ばんだ銀杏の影に小さくなつた。
— 泉鏡花 『三尺角』 青空文庫
真中頃で、向岸から駆けて来た郵便|脚夫と行合って、遣違いに一緒になったが、分れて橋の両端へ、脚夫はつかつかと間近に来て、与吉は彼の、倒れながらに半ば黄ばんだ銀杏の影に小さくなった。
— 泉鏡花 『三尺角』 青空文庫
郵便脚夫にも燕や蝶に春の来ると同じく春は来たのであろう。
— 幸田露伴 『野道』 青空文庫
郵便局の前を通るにつけ、郵便箱を見るにつけ、脚夫に行きあうにつけ、僕はあなたを連想しない事はありません。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
さうして水道栓の水の滴り、誰かしら吹き鳴らす昼の銀笛…… 私の気まぐれな聯想はまた鮮な郊外の景色に手を振つてゆく郵便脚夫の白い帽子に飛んでゆく。
— 北原白秋 『桐の花』 青空文庫
この馬子はもと郵便脚夫で、大樹から以平まで四里半ばかり、その間に人家が一軒もないところを往來してゐたが、不意の大雪に會つて凍傷を起し、兩足を切斷されたのである。
— 斷橋 『泡鳴五部作』 青空文庫
慣れた郵便脚夫などは、遠くおやぢの影を見ると、その場で石の上などへ腰をおろし、「えへん、えへん」など云ひながら、ゆツくり煙草を飮んでゐる。
— 憑き物 『泡鳴五部作』 青空文庫