皺腹
しわばら
名詞
標準
文例 · 用例
」 と、三太夫はお丹へのつらあてに、眼鏡を懸けて刀を選出し、座を構え、諸肌脱ぎ、皺腹に唾をなすり、白刃を逆手に大音声、「腹を切る、止めまいぞ、邪魔する奴は冥土の道連、差違えるぞ、さよう心得ろ。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
最早|新に燭火を点候にも及ばず、窓の雪明りにて、皺腹掻切候ほどの事は出来申すべく候。
— 森鴎外 『興津弥五右衛門の遺書(初稿)』 青空文庫
此上は死を以って諫めるほかに道はないと決意して、天文二十二年|閏正月十三日、六十幾歳かの皺腹|割いて果てた。
— 菊池寛 『桶狭間合戦』 青空文庫
老人は、その日家へ帰ると、式服を着て礼を正し、皺腹をかき切って、惜しからぬ身を捨ててしまった。
— 菊池寛 『忠直卿行状記』 青空文庫
牧、わしなら、皺腹を掻っ裁いて、上命に逆った罪をお詫びして死ぬぞ。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
佐渡守様が何とおっしゃりましょうとも、万一の場合には、宇左衛門|皺腹を仕れば、すむ事でございまする。
— 芥川龍之介 『忠義』 青空文庫
そんなことはいいとして、もし、ひょっとして、賄賂をとって証拠|湮滅をはかったのだろうなどと、痛くもない腹をさぐられるようなことにでもなったら、それこそ、のめのめと生きながらえているわけにはゆかぬ、まさに皺腹ものである。
— 稲荷の使 『顎十郎捕物帳』 青空文庫
その皺腹から大腸をくり出すところなんざ、とんと見られたざまじゃあるまい。
— ねずみ 『顎十郎捕物帳』 青空文庫