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迂散

迂散
名詞
1
標準
文例 · 用例
そして――確に預る、決して迂散なものでない――と云って、ちゃんと、衣兜から名刺を出してくれました。
泉鏡花 紅玉 青空文庫
そして――確に預る、決して迂散なものでない――と云つて、丁と、衣兜から名刺を出してくれました。
泉鏡花 紅玉 青空文庫
おふくろは迂散らしい顏で、しげ/″\周三の顏を瞶めてゐた。
三島霜川 平民の娘 青空文庫
そこに鴎丸の細君が、夜釣りの舟で働く夫を慰めるための酒壜をさげて来たのを見た樽野は、稍暫くジロジロと迂散な眼で壜を眺めてゐたが、やがて舟に飛びあがつて、「一杯飲まう、鴎丸!
牧野信一 円卓子での話 青空文庫
」と、迂散な眼附で彼の外套姿を眺めた。
牧野信一 公園へ行く道 青空文庫
』 女は迂散臭さうに、また声をかけたものの何者であるかを探すやうに、疑深い眼をかれの方に向けた。
田山録弥 波の音 青空文庫
「お世話になりたいと存じますが……」 無精髭の伸びた坊主が、迂散臭い眼付きで、若者の頭のさきから靴のさきまで眺め上げ、眺めおろした。
里村欣三 放浪の宿 青空文庫
夏ならば村里の家々にランプが点り、そのまはりに集つた蛾や甲虫類の数々を、わたしは思はず軒下から覗き込んで、あちこちで迂散な奴と怪まれたりしながら、冬ならば馬の背で琴座の星をかぞえながら――だから長くとも短かくとも日はもうとつぷりと暮れた刻限に、森蔭の水車小屋に到着した。
牧野信一 幽霊の出る宮殿 青空文庫