飾り立て
かざりたて
名詞
標準
文例 · 用例
母が道具類の好きなことは前にちょっと申しましたが、ほとんど毎日、古道具屋|漁りをして我羅苦多ものを買って来まして、何とか勿体をつけて飾り立てます。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
母の部屋は階下の十二畳に続く六畳ですが、まず壁には牡丹に唐獅子の附いている浮彫の額縁の中に、大礼服を着た父と自分と並んだ写真を入れて麗々しく飾り立て、その下に黒檀に象眼のある支那ものらしい茶棚が並べられてあります。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
揃いのように紅白のだんだら幕で、柳の根方に店囲いを作り、羽子板店に紙鳶店はもちろん、神棚の祭具を売る店、餅網、藁のお飯|櫃容れを売る店、屠蘇の銚子や箸袋を売る店、こういう正月向きの売店が賑々しく普通の売店に混り、普通の売店も負けず劣らず飾り立てゝ、もはや春が見舞って来た景気です。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
そこは細長い部屋で、やはり食堂兼応接間のようなものであったが、B君のうちのが侘しいほど無装飾であったのと反対に、ここは何かしらゴタゴタとうるさいほど飾り立ててあった。
— 寺田寅彦 『異郷』 青空文庫
美しさを競うて飾り立てた店先を軒ごとに覗き込んでいた。
— 寺田寅彦 『まじょりか皿』 青空文庫
いつもは美しく飾り立てた小売り店の表には、実に見すぼらしい明治時代の雨戸がしめてある。
— 寺田寅彦 『銀座アルプス』 青空文庫
自分の師の慈慧が僧正に任ぜられたので、宮中に参って御礼を申上げるに際し、一山の僧侶、翼従甚だ盛んに、それこそ威儀を厳荘にし、飾り立てて錬り行った。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
それは其筈で、何もこしらえ事をして飾り立てて我国のことを記したのでもなく、詞藻はもとより大江の家筋を受けていた定基法師であり、又|翰墨の書は空海道風を去ること遠からず、佐理を四五年前に失ったばかりの時代の人であったのである。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫