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惨心

むごしん
名詞
1
標準
文例 · 用例
(たとえ、十年先、二十年先に、一人前の剣工となって、詫びをするにしても、その長い月日の間) と、恩人の惨心を思うと、居ても起っても、いられない。
吉川英治 山浦清麿 青空文庫
ましてや今宵のごとく、戦のあと、いとど寂やかに時雨るる夜などは」 と短檠の灯にじっと、眸をこらして、なおいおうとしたが、義清の惨心に思いを遣り、またあまりにいい過ぎては味もないとするように。
吉川英治 上杉謙信 青空文庫
一方――父草雲はといえば、年ようやく不惑をこえること五年、いわゆる、彼の生涯の一期劃をなす「浅草草雲時代」の惨心いたましき行道に、はいっていたのである。
吉川英治 田崎草雲とその子 青空文庫
勝家の憂いと、惨心の影は、見るに堪えないものがあった。
第九分冊 新書太閤記 青空文庫
二十年来の難行道の惨心は元よりのことである。
吉川英治 親鸞 青空文庫
かぞえれば、叡山の雲にも、路傍の一木一草にも、ひざまずいて、掌をあわせたい恩を感じる―― わけても、彼の心に、今もふかく刻みこまれているのは、十九歳のころのまだ惨心|傷ましい時代にうけた聖徳太子の霊告だった、年ふるたびに御宏恩の偉大さを思わずにいられない彼であった。
吉川英治 親鸞 青空文庫
太子は、それを、まだ真の闇だった若い惨心|一穂の灯となって、暗示して下すった第一のお方だった。
吉川英治 親鸞 青空文庫
まず、その狼煙を最初に揚げて、十八ヵ国の諸侯を糾合した曹操自身からまっ先に、袁紹の優柔不断に腹を立てて、(おれは俺でやろう)と決意したものの如く、大勢には勝利を占めながら、残り少なきわずかな手勢と、鬱勃たる不平と、惨心とを抱いて、いちはやく揚州の地へ去ってしまった。
群星の巻 三国志 青空文庫