花御堂
はなみどう
名詞
標準
文例 · 用例
今年、四月八日、灌仏会に、お向うの遠藤さんと、家内と一所に、麹町六丁目、擬宝珠屋根に桃の影さす、真宝寺の花御堂に詣でた。
— 泉鏡花 『古狢』 青空文庫
」 唯今、七彩五色の花御堂に香水を奉仕した、この三十歳の、竜女の、深甚微妙なる聴問には弱った。
— 泉鏡花 『古狢』 青空文庫
家へ帰って、摩耶夫人の影像――これだと速に説教が出来る、先刻の、花御堂の、あかちゃんの御母ぎみ――頂餅と華をささげたのに、香をたいて、それから記しはじめた。
— 泉鏡花 『古狢』 青空文庫
――花御堂の灌仏会、お釈迦さまも裸になって、善男善女が浮かれだして、赤い信女がこっそり寺の庫裡へ消えて、数珠と杯を両手の生き仏から怪しい引導を渡されるのもこの月にしばしば聞くうわさの一つです。
— 開運女人地蔵 『右門捕物帖』 青空文庫
但、竿頭のさつきの花だけは、花御堂にあやかつたものであつて、元はやはり髯籠系統のものであつたかと推測する。
— 折口信夫 『髯籠の話』 青空文庫
四月八日のお釈迦の誕生の日に、紫雲英と薊とこの花とを以て、花御堂の屋根を葺く習わしもあったから、天竺餅の名はそれから出たのかも知れぬ。
— 野草雑記 『野草雑記・野鳥雑記』 青空文庫
ただし竿頭のさつきの花だけは花御堂にあやかったものであって、元はやはり髯籠系統のものであったかと推察する。
— 柳田国男 『年中行事覚書』 青空文庫
花の窟の花祭はあまり物遠いとしても、日前国懸両宮往古年中行事にも「四月八日|供躑躅」という例はあるので、自分等はむしろ何故に釈迦誕生に花御堂を作り始めたかを考えて見たい位である。
— 柳田国男 『年中行事覚書』 青空文庫