託ち顔
かこちがお
名詞
標準
文例 · 用例
孔明は託ち顔に、「うごく敵は計り易いが、全くうごかぬ敵には施す手がない。
— 五丈原の巻 『三国志』 青空文庫
登り詰めたる階の正面には大いなる花を鈍色の奥に織り込める戸帳が、人なきをかこち顔なる様にてそよとも動かぬ。
— 夏目漱石 『薤露行』 青空文庫
「オイまだか、遠いな、なぜそんな奥の方の家をよって泊ったんだろう」これという程の朝食を取らなかった洋服の人は、頻りに空腹を感じて、昼飯を炊かせる筈の家が遠い遠いと言いながら、かこち顔に鬚男を責め立てる。
— 木暮理太郎 『奥秩父の山旅日記』 青空文庫
「食客だからと思えば癪にさわるが、これも一天の君の御為と思えば……」 三位卿は、かこち顔な見張の端居。
— 上方の巻 『鳴門秘帖』 青空文庫
だが海女も三十歳までが花だと、今は老いたる海女のかこち顔であった。
— 吉川英治 『随筆 新平家』 青空文庫