愴
愴
名詞
標準
文例 · 用例
さうした芥川君の談話は、異常に悽愴の氣を帶びてゐた。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の死』 青空文庫
自分は彼の作品について、時にしばしば一種の鬼氣を――支那の言語で、丁度「鬼」といふ字が表象する所の悽愴感を――感じてゐた。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の死』 青空文庫
でまあ、このやうに悲愴げに読むところで、まあ俺らしい勉強なんだ。
— ――不真面目なわが心…… 『その一週間』 青空文庫
酔いが進むに連れて、ひとりで悲愴がって、この会合全体を否定してみたり、きざに異端を誇示しようと企んだり、或いは思い直して、いやいやここに列席している人たちは、みな一廉の人物なのだ、優しく謙虚な芸術家なのだ、誠実に、苦労して生きて来た人たちばかりだ。
— 太宰治 『善蔵を思う』 青空文庫
凄愴とでもいふ感じである。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
この時、戀もなければ失戀もない、たゞ悽愴の感に堪えず、我生の孤獨を泣かざるを得なかつた。
— 国木田独歩 『湯ヶ原より』 青空文庫
富藏は疑はないでも、老夫婦の心は分つて居ても、孤家である、この孤家なる言は、昔語にも、お伽話にも、淨瑠璃にも、ものの本にも、年紀今年二十になるまで、民子の耳に入つた響きに、一ツとして、悲慘悽愴の趣を今爰に囁き告ぐる、材料でないのはない。
— 泉鏡花 『雪の翼』 青空文庫
白糸は生まれてより、いまだかかる最期の愴惻を見ざりしなり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫