花殻
はながら
名詞
標準
文例 · 用例
真菰の精霊棚、蓮花の形をした燈籠、蓮の葉やほおずきなどはもちろん、珍しくも蒲の穂や、紅の花殻などを売る露店が、この昭和八年の銀座のいつもの正常の露店の間に交じって言葉どおりに異彩を放っていた。
— 寺田寅彦 『試験管』 青空文庫
少し歩いてからしなびた紅の花殻をやはり二三本|藁包にしたのを買った。
— 寺田寅彦 『試験管』 青空文庫
ひと月前の七月十三日の夜には哲学者のA君と偶然に銀座の草市を歩いて植物標本としての蒲の穂や紅花殻を買ったりしたが、信州では八月の今がひと月おくれの盂蘭盆で、今夜から十七日まで毎晩この温泉宿の前の広場で盆踊りがあるという。
— 寺田寅彦 『沓掛より』 青空文庫
小僧さんのする盲目縞の真黒な前かけでもあることか、紫地に桜の花がらんまんと咲いて、裏には紅絹のついているちりめんのチョン髷、しかも額に緋ぢりめんの紐の結び目が瘤のように乗っかっている。
— 長谷川時雨 『朝散太夫の末裔』 青空文庫
1901年 クリスマス つるぎと カツラが まだ あって、 コートの すそが 長くて、 花がらの ひらひらの ついていた むかし、 男の人も ひだや ふさの ついた きらびやかな きぬの チョッキを きていた むかしのこと、 グロスターに ふくやさんが おりました。
— THE TAILOR OF GLOUCESTER 『グロスターのふくやさん』 青空文庫
島にはつつじ、山吹、連翹、糸桜、春の万花がらんまんと咲いて、一面なる矮生植物と落葉松のあいだを色どっている。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫