西塔
さいとう
名詞
標準
文例 · 用例
然るに叡山の西塔慶純の末流も、まだ居ることなれば、たとえ山科坊建立あるとも、いつ如何なる折を見付けて再び乱入なさんも知れず。
— 岡本かの子 『取返し物語』 青空文庫
――叡山には東塔、西塔、横川とあって、その三ヵ所を毎日往来してそれを修業にしている人もあるくらい広い所だ。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
「御叔父さん、東塔とか西塔とか云うのは何の名ですか」「やはり延暦寺の区域だね。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
広い山の中に、あすこに一と塊まり、ここに一と塊まりと坊が集まっているから、まあこれを三つに分けて東塔とか西塔とか云うのだと思えば間違はない」「まあ、君、大学に、法、医、文とあるようなものだよ」と宗近君は横合から、知ったような口を出す。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
――かように候ものは、西塔の傍に住居する武蔵坊弁慶にて候――弁慶は西塔におったのだ」「弁慶は法科にいたんだね。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
叡山の西塔に実因|僧都という人がいたが、この人が無類の大力であった。
— 菊池寛 『大力物語』 青空文庫
叡山の衆徒は感奮し、大塔宮様ともどもに、車駕を西塔に迎えたてまつり、おりから攻めよせて来た佐佐木時晴の、六波羅勢を打ち破ったが、その時心ない山風が吹いて、御車の簾を翻えした。
— 国枝史郎 『あさひの鎧』 青空文庫
そのうちに比叡山の西塔の武蔵坊というお寺の坊さんが亡くなりますと、弁慶は勝手にそこに入りこんで、西塔の武蔵坊弁慶と名のりました。
— 楠山正雄 『牛若と弁慶』 青空文庫