柿葺き
こけらぶき
名詞
標準
文例 · 用例
」森さんの記録には、前後の藁屋、屋根は柿葺きで、語どほりの藁葺きではなかつたとあるのは、春嶽の文章に板屋とあるのが、観察を誤つてゐないことを示してゐる。
— 折口信夫 『橘曙覧評伝』 青空文庫
初めはくずや葺きの藁屋であつたのが、類焼後、仮り屋らしい柿葺きであつた事が、如何にも第一の藁屋ほど、手のこんで作られて居なかつたことを示してゐるのではないか。
— 折口信夫 『橘曙覧評伝』 青空文庫
春嶽が「しのぶや」に改めさせようとしたのは、藁葺きかと思つたのに、柿葺きであつたといふ素朴な失望もあつたらうし、又藁屋の名が典拠なげなやすつぽい感じのする上に、音覚も荘重味を欠いてゐる。
— 折口信夫 『橘曙覧評伝』 青空文庫
焼夷弾を、どんなものだと思っていたのか、地面から三尺上った柿葺きの屋根伏せに、古畳を積んで天水桶を置き、なんのつもりか、地下室の壁に大きな神棚をつくりつけた。
— 久生十蘭 『我が家の楽園』 青空文庫
桁行二十間、梁間十五間、切妻造り、柿葺の、格に嵌まった堂々たる館で、まさしく貴族の住居であるべく、誰の眼にも見て取れた。
— 国枝史郎 『弓道中祖伝』 青空文庫
そのむこうが露地になり、柿葺の茶室が建っている。
— 菊香水 『顎十郎捕物帳』 青空文庫
窓のない柿葺の小屋で、二坪ほどの板敷に古茣蓙を敷いてある。
— 久生十蘭 『肌色の月』 青空文庫
ひょッと見ると、屋根の上、 青苔の生えている、柿葺をバリバリ破って、そこからやッと、首だけ出した先生の声でした。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫