蜘蛛手
くもで
名詞
標準
文例 · 用例
見上ぐる山の巌膚から、清水は雨に滴って、底知れぬ谷暗く、風は梢に渡りつつ、水は蜘蛛手に岨を走って、駕籠は縦になって、雲を仰ぐ。
— 泉鏡花 『栃の実』 青空文庫
絶えず続いて、音色は替っても、囃子は留まらず、行交う船脚は水に流れ、蜘蛛手に、角ぐむ蘆の根を潜って、消えるかとすれば、ふわふわと浮く。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
此處の森敢て深しといふにはあらねど、おしまはし、周圍を樹林にて取卷きたれば、不動坂、團子坂、巣鴨などに縱横に通ずる蜘蛛手の路は、恰も黄昏に樹深き山路を辿るが如し。
— 泉鏡花 『森の紫陽花』 青空文庫
そして、その閂の上までも一面に、蜘蛛手形に蔦の枝が匍っている。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
上州野州の平野には汽車電車の利便が蜘蛛手のように張り亘っております。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
私たちは山に離ろうとするこころと、山に牽かれるこころと縺れるさまをこれ等の蜘蛛手の線路の上へ形さながらに現して彷徨いたしました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
死んだは、活きたは、本宅の主人へ電報を、と蜘蛛手に座敷へ散り乱れるのを、騒ぐまい、騒ぐまい。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
線路へ出て、ずっと見ると、一面の浜田がどことなく、ゆさゆさ動いて、稲穂の分れ伏した処は幾ヶ所ともなしに細流が蜘蛛手に走る。
— 泉鏡花 『沼夫人』 青空文庫
ウィキペディア曖昧さ回避
蜘蛛手(くもで)とは
出典: 蜘蛛手 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0