釣人
ちょうじん
名詞
標準
文例 · 用例
鱧を焼く匂いの末に中の島公園の小松林が見渡せる大阪天満川の宿、橋を渡る下駄の音に混って、夜も昼も潺湲の音を絶やさぬ京都四條河原の宿、水も砂も船も一いろの紅硝子のように斜陽のいろに透き通る明るい夕暮に釣人が鯊魚を釣っている広島太田川の宿。
— 岡本かの子 『河明り』 青空文庫
水がぬるんで来て、枝川にのっ込みの鮒を釣ろうと竿さきを立てゝ動き歩く釣人の影が見えます。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
それでもまだ、この川に馴染んだ竿味を忘れかねる東京の下町の釣人や近所の工場に出ていて遠出の時間を持たない職工たちが毎日三四人ずつは船を借りに来ます。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
釣人相手に暮すから遠慮はなしに縁付きなさい」と言っては呉れるのですが、それにしても年寄りのことではあり、なにかと見護っていてやらねばなりません。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
八時頃になって船の借手の釣人がまた一人来ました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
が、折からのたそがれに、瀬は白し、氣を籠めて、くる/\くる、カカカと音を調ぶる、瀧の下なる河鹿の聲に、歩を留めると、其處の釣人を、じろりと見遣つて、空しい渠の腰つきと、我が獲ものとを見較べながら、かたまけると云ふ笑方の、半面大ニヤリにニヤリとして、岩魚を一振、ひらめかして、また、すた/\。
— 泉鏡太郎 『雨ふり』 青空文庫
「あれが御番所の森です」 幽邃な左岸の林に釣人がいる。
— 北原白秋 『木曾川』 青空文庫
釣人は幽かに棹をかついで細い径をのぼってゆく。
— 北原白秋 『木曾川』 青空文庫