幽趣
ゆうしゅ
名詞
標準
a quiet (natural) setting
文例 · 用例
杉の大木の下に床几を積み上げたるに落葉やゝ積りて鳥の糞の白き下には小笹生い茂りて土すべりがちなるなど雑鬧の中に幽趣なるはこの公園の特徴なるべし。
— 寺田寅彦 『半日ある記』 青空文庫
山氣と嵐氣と暮氣とは刻々に懷に迫つて、幽奧の境、蒼茫の態、一聲|鳥だに啼かず、千古水いたづらに落つる景、丁度人去つて霧卷くこの時に會つて、却つて原始的の状を味はふことは出來て幽趣無きにあらずでは有つたが、これだけでは仕方が無い、いづれあとは又明日と車に上つた。
— 幸田露伴 『華嚴瀧』 青空文庫
我に返りて後其声を味へば、凡常の野雀のみ、然るも我が得たる幽趣は地に就けるものならず。
— 北村透谷 『山庵雑記』 青空文庫
水白く橋下の礫に碎くるものは鬼怒の清流にして、天と地と相接するところ低林淡く相連なるものは、遠村の幽趣に非ずや。
— 長塚節 『草津行』 青空文庫
小石川臺の南端、平地にかけての大なる一と構へは、もと水戸侯の邸宅の在りし處、義公の住みし處、烈公の住みし處、藤田東湖の住みし處、今や、砲兵工廠となりて、幽趣を極めたる後樂園、深く煤烟の奧に鎖さる。
— 大町桂月 『小石川臺』 青空文庫
左右の山も近くして、橋をして一層の幽趣を帶ばしむ。
— 大町桂月 『梅の吉野村』 青空文庫
曉早く、樓下を漕ぎゆく艪の音に夢やぶれ、戸を推し、欄によりて望めば、そよ/\と吹き來る凉風につれ、朝靄浮動して、幽趣いふべからず。
— 大町桂月 『鹿島詣』 青空文庫
老松路に横はり、幽趣人に逼る。
— 大町桂月 『白河の七日』 青空文庫
作例 · 標準
山奥の小さな古刹は、訪れる人に深い幽趣を感じさせた。
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彼の描く水墨画には、日本の自然が持つ幽趣がよく表現されている。
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都会の喧騒を離れ、この庭園の幽趣に浸る時間が何よりも好きだ。
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