通り去る
とおりさる
動詞
標準
文例 · 用例
彼らは遠くからでも彼の姿を見かけると、ただちに事務の手をやめ、直立不動の姿勢で、長官が部屋を通り去るのを待ったものである。
— ニコライ・ゴーゴリ 『外套』 青空文庫
時節がら人の通りが少ないといっても、名にし負う京と大阪とへの追分に近いところ、「あれ、喧嘩があるそうな」「武家と武家との争闘じゃ」「おお、抜きましたぜ」「抜いた、抜いた」「長い刀やな」「あれ、危ない」 気の弱いものには、真剣勝負は見ていられない、袖で面を蔽うて急いで通り去るのが尋常の人です。
— 壬生と島原の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
だが、できるだけは無言にして通り去ろうとすると、通り去るには、やはりその人混みの墓地の間を、一応通過しなければならない道筋になっている。
— 農奴の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
亡霊が夜半の疾風のように速くこの窪地を通り去るのは、刻限におくれたために、大いそぎで夜明け前に墓場へ帰ろうとしているのだということだ。
— 故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より 『スリーピー・ホローの伝説』 青空文庫
稀に我々は、聡明らしく見える老人が、前を通り去る我々を見詰めて、懐古的瞑想にふけりながら、厳格な態度で頭をふるのを見た。
— 日本その日その日 『日本その日その日』 青空文庫