焼き鏝
やきごて
名詞
標準
文例 · 用例
そして、その鉄は焼き鏝のように、それに触れると肉を引んむいてしまう。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
肩も胸も露出に、乳房のあたり咽喉のあたり焼き鏝でも当てられたか、赤く爛れ、皮膚さえ剥けている。
— 国枝史郎 『血曼陀羅紙帳武士』 青空文庫
同じ三百五十目位でも老鶏の爪を切って焼き鏝を当てて若鳥のように見せかけて売る事が沢山ありますから欺されるといけません。
— 秋の巻 『食道楽』 青空文庫
焼き鏝を当てて上へ黒い焦がした模様を附けてお客の前へ出します。
— 秋の巻 『食道楽』 青空文庫
人種がちがうものだとばっかり思っていたが、あにはからんや、僕の額にもはっきり落第生の焼鏝が押されてしまった。
— 太宰治 『正義と微笑』 青空文庫
――「しまつた」とかの女は胸に焼鏝を当てた。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
独り居室にいるときでも、夜、牀上に横になったときでも、ふとこの屈辱の思いが萌してくると、たちまちカーッと、焼鏝をあてられるような熱い疼くものが全身を駈けめぐる。
— 中島敦 『李陵』 青空文庫
すると、櫛巻の女房が小さい焼鏝を焼いて、管の合せ目へ、ジューとハンダを流す。
— 小栗風葉 『世間師』 青空文庫