袖摺
そですり
名詞
標準
文例 · 用例
」 同じ文字を露した大形の名刺の芬と薫るのを、疾く用意をしていたらしい、ひょいと抓んで、蚤いこと、お妙の袖摺れに出そうとするのを、拙い!
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
ときに女房さん、袖摺り合うのも他生の縁ッさ。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
渋蛇目傘を開いたままで、袖摺れに引着けた、またその袖にも、霏々と降りかかって、見る見る鬢のおくれ毛に、白い羽子が、ちらりと来て、とまって消えては、ちらりと来て、消えては、飛ぶ。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
」 と、すぐに糸七が腰かけた縁端へ、袖摺れに、色香折敷く屈み腰で、手に水色の半※を。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
で、つと小窓を開くと、其処に袖摺れた秋風は、ふと向うへ遁げて、鍵屋の屋根をさら/\と渡る。
— 泉鏡花 『貴婦人』 青空文庫
秋の山は静に、その人たちの袖摺れに、草のさらさらと鳴るのが聞こえて、釜底帽子の親仁も、若い娘たちも、もう山懐に深かった。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
しかし、そこには薬室特有の浸透的な異臭が漂っているのみで、そこの床には、証明しようのないスリッパの跡が縦横に印され、それ以外には、袖摺れ一つ残されていなかった。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
聖天様や袖摺稲荷の話も出た。
— 広重と河獺 『半七捕物帳』 青空文庫