臆病神
おくびょうがみ
名詞
標準
timidity-causing god
文例 · 用例
が、吃驚するやうな大景氣の川鐵へ入つて、たゝきの側の小座敷へ陣取ると、細露地の隅から覗いて、臆病神が顯はれて、逃路を探せや探せやと、電燈の瞬くばかり、暗い指さしをするには弱つた。
— 泉鏡太郎 『春着』 青空文庫
漫に昨夜を憶起して、転た恐怖の念に堪へず、斯くと知らば日の中に辞して斯塾を去るべかりし、よしなき好奇心に駆られし身は臆病神の犠牲となれり。
— 泉鏡花 『妖怪年代記』 青空文庫
盛政例によって大音声を挙げ、味方の諸士臆病神が付いたのか、と罵ると、原彦次郎曰く「仰せの如く味方の兵が逃げるのは、大将に臆病神取付いて引返して備うる手段を採らない故である。
— 菊池寛 『賤ヶ岳合戦』 青空文庫
貴公にゃ、臆病神がついていて、放れないらしい。
— 海野十三 『浮かぶ飛行島』 青空文庫
実を云えば大阪近在に人殺しの無暗に出る訳けもない、ソンナに怖がる事はない筈だが、独旅の夜道、真暗ではあるし臆病神が付いてるから、ツイ腰の物を便りにするような気になる。
— 福翁自伝 『福翁自伝』 青空文庫
実に馬鹿らしきようなれども、先祖代々独立の気を吸わざる町人根性、武士には窘しめられ、裁判所には叱られ、一人扶持取る足軽に逢いてもお旦那さまと崇めし魂は腹の底まで腐れつき、一朝一夕に洗うべからず、かかる臆病神の手下どもが、かの大胆不敵なる外国人に逢いて、胆をぬかるるは無理ならぬことなり。
— 福沢諭吉 『学問のすすめ』 青空文庫
丹波め、すっかり臆病神にとりつかれたとみえて、立ちあいの判定がなければことわると申してまいった」 谷大八がのぞきこんで、「フフン……お申しこしの儀は、真剣勝負とは申せ、柳生一刀流と不知火十方流のいわば他流仕合いにつき、相互の腕以上の判定者を立ちあわしむるを至当とす。
— 日光の巻 『丹下左膳』 青空文庫
揃いも揃って臆病神に取り憑かれたか。
— ――市川猿之助氏のために―― 『若き日の成吉思汗』 青空文庫
作例 · 標準
例句