駆下
かけるした
名詞
標準
文例 · 用例
」 と一つ婀娜な声を、きらりと銀の平打に搦めて投込んだ、と思うが疾いが、ばたばたと階下へ駆下りたが、「嘘、居やしないわ。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
……うふッ、)と腮の震えたように、せせら笑ったようだっけ、――ははあ……」 十五「今の腕車に、私が乗っていたのを知って、車夫が空で駆下りた時、足の爪を轢かれたとか何とか、因縁を着けて、端銭を強請るんであろうと思った。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
風のごとく駆下りた、ほとんど魚の死骸の鰭のあたりから、ずるずると石段を這返して、揃って、姫を空に仰いだ、一所の鎌首は、如意に似て、ずるずると尾が長い。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
一度、駆下りようとした紫玉の緋裳は、この船の激しく襲ったために、一度引留められたものである。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
とんとんと裏階子を駆下りるほど、要害に馴れていませんから、うろうろ気味で下りて来ると、はじめて、あなた、たった一人。
— 泉鏡花 『開扉一妖帖』 青空文庫
急いで、燈火を当に駆下りる、と思ひがけず、往には覚えもない石壇があつて、其を下切つた処が宿の横を流れる矢を射るやうな谿河だつた。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
「何です」「何時か頂戴した写真を今夜だけお返し申ましょうか」「何故」「それでもお淋しかろうとおもって、オホオホ」 ト笑いながら逃ぐるが如く二階を駆下りる。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
峠から駆下りて来た郵便脚夫が一人、(旦那、女が狼に食われております。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫