屈
屈
名詞
標準
文例 · 用例
ものに屈託するなどいうことはとんと知らなかった糟谷も、にわかに悔恨の念禁じがたく、しばしば寝られない夜もあった。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
内輪の人に対して腹立たり叱ったり泣たりするのも、皆一時の激情に過ぎないので、理屈もなにもなかったのである。
— 伊藤左千夫 『竹乃里人』 青空文庫
しかしこれが皆前にいう通り、理屈の上のことばかりで、先生の所で何かにつけ飯が出る、また飲食会がある、それに必ず欠かさず酒を出すのだ、一方では冷酷に意見をしながら、すぐその跡から酒を出すからいかにも矛盾している、ちょっとおかしく思われるが、ここが先生の涙もろいところだ。
— 伊藤左千夫 『竹乃里人』 青空文庫
予は自ら慰めてこんなことをいうものの、子規子没後は虚子、碧梧桐と歌われているその虚子君の口から、子規子が迷惑なるべくやに思わるといわるることを予ははなはだ口惜しく思うのである、親友に敬意を欠くの恐れがあるからあまり理屈はいうまい、ただ生前先生から聞いた二、三の話を紹介して、世人の判断に任せておく。
— 伊藤左千夫 『竹乃里人』 青空文庫
三人は予の左右に屈み加減に両手を突いて等しく父の前に顔を出すのであった。
— 伊藤左千夫 『大雨の前日』 青空文庫
同時に我れながらさもしい卑屈な感想の湧き起るのを禁じ得なかった。
— 伊藤左千夫 『大雨の前日』 青空文庫
出口がせまいので少しからだを横にようやく通る窮屈さをいっそう興がって、ふたりは笑い叫ぶ。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
二人は坂を降りてようやく窮屈な場所から広場へ出た気になった。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫