匙加減
さじかげん
名詞
標準
文例 · 用例
私がちょこちょこ近処だから駈出しては、薬取に行くのでしたが、また薬局というのが、その先生の甥とかいう、ぺろりと長い顔の、額から紅が流れたかと思う鼻の尖の赤い男、薬箪笥の小抽斗を抜いては、机の上に紙を並べて、調合をするですが、先ずその匙加減が如何にも怪しい。
— 泉鏡花 『薬草取』 青空文庫
匙加減や見立違ひで人を殺しておいて詫言一つ言つた事のない医者にとつて、謝りに来るのは、魂を嘔吐すよりも苦しかつたに相違ない。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
のんのんずいずい乗込んで、日頃鍛えし匙加減、一服盛るに手間、暇取らぬ。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
お種は大事な俺の姪、病気だとでも聞こうものなら、すぐに駆け着け匙加減、アッハハハ癒して見せるよ」「どうぞお願い致します」と十兵衛は質朴な田舎者、つつましく頭ばかり下げるのであった。
— 国枝史郎 『村井長庵記名の傘』 青空文庫
たとえ、相手方から、あれが伊勢の国の山かいと聞かれても、なんのなんのと、そこは、お手のものでいいかげんにごまかして、感傷転換をやるほどの匙加減はあってしかるべきものを、もう取返しがつかない。
— 年魚市の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
道庵の匙加減を見ろ、すべて道庵の匙にかかって助かった奴は一人もねえ――それを言いたいためなのだ、それを言いたいために、こういうこともあろうかとの深謀遠慮が、今になって篤と腑に落ちた。
— 弁信の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
たまたま学事に篤志のものあれば、三界唯心とか一心三観とか、高尚の理屈ばかりを唱え、「唯識三年|倶舎八年」などと気長のことばかりをいい立てて、さらに時弊に応じて教義を調合する匙加減を知らざる風情であります。
— 井上円了 『おばけの正体』 青空文庫
どれも皆、おめでたい子供を相手に、匙加減をして真面目くさったり、機嫌を取ったりするのです。
— FAUST. EINE TRAGODIE 『ファウスト』 青空文庫
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『匙加減』(さじかげん)は、古典落語の演目。
出典: 匙加減 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0