漆掻き
うるしかき
名詞
標準
文例 · 用例
けれども、その時に斯う、ぼんやりと分ったのは、私の村から有田郡の方へ抜ける山路にヤカンダニと云う谷があって、めったに人の通らない淋しい所なんですが、そこをその漆掻きは前に一遍あるいたことがある。
— 谷崎潤一郎 『紀伊国狐憑漆掻語』 青空文庫
「あっ」 と、四ツ目屋までびッくりして飛び上がると、漆掻きは、いちどきに笑って、「旅の衆、栗だよ、栗をくべてあったのだよ」 雲霧の仁三ともあろうものが、焼栗におどろかされて飛び上がるなどは、近ごろの大出来だと、かれも共に、自分で自分を囃したいような苦笑にくすぐられました。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
「焼けた、さ、旅の衆、栗をたべねえか、この辺の栗は、つぶは小さいが甘みがある」 と、漆掻きの男どもは、人にもすすめ、自分たちも灰の中から栗をかき出して、皮をむき合っている。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
そのお蝶の美しさは、漆掻き達に少なからぬ驚異だったとみえて、彼等は最前から、鳴りをしずめてマジマジと気をとられていましたが、そのうちに、「旦那がたはよいけれど、あの、かご屋を帰しては、その女子が可哀そうだ。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
で、白樺の森にそいながら、漆掻きの導く道について行きました。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
西へ向いているのか東へさしているのか、この辺の地理になると漆掻きででもなければ、少しも見当がつきません。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
しかし、新助も雲霧も秦野屋も、身の軽いことにかけては漆掻きに劣らぬ曲者です。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
お蝶はひとりの漆掻きの背なかに負われて降りました。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫