縷
縷
名詞
標準
文例 · 用例
それで医者ならば生き返らせることができるかとの一縷の望みをかけて、いっせいに医者に思いをあつめた。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
だがやつぱり不治なぞといふことはないだらうと、私は猶|一縷の望みは消さないで持つてゐたことに、誇りをさへ感じた。
— 中原中也 『亡弟』 青空文庫
ヨブは大苦難の真只中にありて前後左右を暗黒に囲まれつつ、一縷この光明を抱いたのである。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
人間は不幸のどん底につき落され、ころげ廻りながらも、いつかしら一縷の希望の糸を手さぐりで捜し当てているものだ。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫
女房、俄かに上気し、その筋書を縷々と述べ、自らの説明に感激しむせび泣く。
— 太宰治 『小説の面白さ』 青空文庫
私には、まだ、かすかに一縷の望みがあったのでした。
— 太宰治 『恥』 青空文庫
」 しかし、心では一縷の望みを捨て切れなかった。
— 太宰治 『薄明』 青空文庫
ああ、もう東京はいやだ、殺風景すぎる、僕は北京に行きたい、世界で一ばん古い都だ、あの都こそ、僕の性格に適しているのだ、なぜといえば、――と、れいの該博の知識の十分の七くらいを縷々と私に陳述して、そうして間もなく飄然と渡支した。
— 太宰治 『佳日』 青空文庫