歩き掛ける
あるきかける
動詞
標準
文例 · 用例
百城が、歩きかけると、僧は、部屋へ入って来たらしく、足音がした。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
「急ぎますゆえ、これにて――」 と、お叩頭をして「川上矢五太夫様の許におりますから」 と、いいすてて歩きかけると「綱手殿は、お果てになりましたぞ――」 百城の言葉は、かすれていた。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
「お前が死ぬのが早いか、俺が早いか、江戸も、黒船のために、煙になるって、評判じゃあねえか」「そうだってのう、じゃあ、もらって行くぜ」「達者で、行きな」「牧の野郎の、便りを頼むぜ」「いいとも――」 庄吉が、歩きかけると「道中で、ひょんな気を起しなさんな」 と、吉が、又注意した。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
「明日早く参ります」と云って歩きかけると、そのひとが天幕から出て来て、私に何も云わないで十銭玉を一つくれた。
— 林芙美子 『新版 放浪記』 青空文庫
自動車乗場の方へ歩きかけると、「あらツ」と云つて、派手なグリンの外套を着た女が、ゆき子のそばへ走つて来た。
— 林芙美子 『浮雲』 青空文庫
みさ子、歩きかける。
— 宮本百合子 『火のついた踵』 青空文庫
(歩きかける)安重根 (機械的に受取って)御免です!
— ――十四の場面―― 『安重根』 青空文庫
渋谷駅の方へ歩きかけると、後から呼びとめられた。
— 坂口安吾 『南京虫殺人事件』 青空文庫