余栄
よえい
名詞
標準
posthumous honors
文例 · 用例
老齢と雖もさらに奮起一番して粉骨砕身いよいよ御忠勤をはげみ、余栄を御子孫に残すべきところでございましたのに、まことに生憎のもので、この御寵愛最も繁かりしその翌年、あの大騒動にて御一族全滅に相成りました。
— 太宰治 『右大臣実朝』 青空文庫
『雪と花火』の前身東京景物詩はその後数ヶ月を経て、やつと上梓の余栄に浴したものだ。
— 東京景物詩改題に就て 『雪と花火余言』 青空文庫
宮様と同じ隊であった息子が、前線で戦死したことを息子の余栄として、皇后の巻かれた繃帯で、わが良人、わが子のもがれた手足がくるまれ、目しいた眼が包まれることで、日本の女性の苦悩と疑惑とが感涙によって洗い流されなければならなかった。
— 宮本百合子 『平和への荷役』 青空文庫
ささやかな余栄であるが、筆の力のありがたさ。
— 一九四四年(昭和十九年) 『日記』 青空文庫
戦捷の余栄はわたしの身を長く安らかに異郷の天地に遊ばせてくれたので、わたしは三十八年の真夏東京市の市民がいかにして市内の警察署と基督教の教会を焼いたか、又巡査がいかにして市民を斬ったか其等の事は全く知らずに年を過した。
— 永井荷風 『花火』 青空文庫
生き残って、平家の世に隠れて奉公をするよりは、死んでこそ余栄あり。
— 藤野古白 『人柱築島由来』 青空文庫
彼の余栄の永く秋子夫人と英司君の上に絶えざらんことを。
— 辰野隆 『旧友の死』 青空文庫
その証拠には、特に、惟任の姓をゆるされ、丹波亀山の城に六十万石を附与され、一門の眷族もみな余栄をうけて、いまの明智日向守光秀は、もうむかしの漂浪零落時代の十兵衛光秀ではなかった。
— 第六分冊 『新書太閤記』 青空文庫