霧深い
きりぶかい異読 きりふかい
形容詞
標準
misty
文例 · 用例
ドリアンはヘンリイ卿の晩餐に招かれてその帰りがけに、霧深い町角でゆくりなくもベエシル・ハルワアドと出逢った。
— The Portrate of Dorian Gray 『絵姿』 青空文庫
霧深い十一月の日の薄明かりだ、病室は陰気な所となり、さらに寝台から私へ向けられた憔悴の顔が、私の肝を冷やす。
— THE ADVENTURE OF THE DYING DETECTIVE 『瀕死の探偵』 青空文庫
一人が握飯の食ひ殘しを呉れたら何と思つたかそれを咥へた儘霧深い谷をさして飛んでしまつた。
— 長塚節 『鉛筆日抄』 青空文庫
我々はこの作を讀む時、冷たい霧深い、そして無始無終の極氷洋の光景と、灼熱した太陽の光りの溶けて漂ふ印度洋と、北佛蘭西の寂しい海岸の孤つ家の戸口に坐つてゐる老女の姿とを、同時に眼前に浮ばせられる。
— 「氷島の漁夫」について 『氷島の漁夫』 青空文庫
余は幼少のころ、霧深い大気の中で、樹木を妖怪と信じたこともあったが、この場合は断じてそうではない。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
幽邃な霧深い谷間が、夢のような色に染まっているのを見ると、何とも知れぬ懐かしみに打たれる。
— 菊池幽芳 『雲仙岳』 青空文庫
また小松や小灌木の枝には「さるおがせ」がひげをたれているところを見ると、この渓谷の如何に霧深いかを想像させる。
— 菊池幽芳 『雲仙岳』 青空文庫
このようにして過ぎていったが、葬式の翌日、霧深い、身を斬るような、霜寒の午後の三時頃、私は戸口のところにしばらく立って、父についての悲しい思いに耽っていた。
— 宝島 『宝島』 青空文庫