母鯨
ははくじら
名詞
標準
文例 · 用例
大きいのは母鯨だろう。
— Ocean の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
母鯨は、子鯨の上にのしかぶさって隠そうとする。
— Ocean の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
親鯨は、鰭と身体との間に、子鯨をはさんで海の底深く沈もうとするのを、銛がその母鯨を刺す。
— Ocean の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
深く沈んだ母鯨の姿が、見えなくなってしまった。
— Ocean の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
逃げたのは男親だ、男の親鯨は逃げるが、母鯨というものは、決して子を捨てて逃げるものじゃ無え、そこらにいる、そこらにいる、とガナる者もある。
— Ocean の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
怒気、心頭に発した母鯨は、行手をふさいだ港口の鯨舟数隻を、粉々にたたきこわすと、そのまま再び外洋に逃れ去ってしまった。
— Ocean の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
海が急にわき立ったかと思うと、母鯨は、燈台が崩れたように海中に直立して、真白い腹を鰭でたたきながら、「子を返せ」「子を返せ」と狂いまわる――その哀求の声。
— Ocean の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
母鯨にはぐれた鯨の赤ん坊が、この舟を母親かと思い、一心についてあるきながら、シクシク泣いているその声なのです。
— 久生十蘭 『手紙』 青空文庫